ホルトの木の下で

ホルトの木の下で

堀 文子

幻戯書房/2007年9月26日発行/A5判変形/上製本/カバー装/丸背

カバーは4色、タイトルと著者名をつや黒の箔捺し。帯は2色。

装幀案を考えるにあたって、担当編集者のIさんと堀文子さんの大磯のアトリエにお邪魔しました。アトリエはどこを見てもわくわくする、好奇心を大いにくすぐる空間で、壁に床に天井にどこを見ても、そして棚の上に置いてあるオブジェや何気なく置いてある木の板や棒、なんなのかよくわからないものやこれで描いているのかなと思わせる画材など、何を見てもおもしろく、こういった空間で堀さんの絵が紡ぎだされているのだと興奮が止まりませんでした。少し落ち着いてから、堀さんとお話ししながらアトリエにある絵を見させてもらい、最終的にこの絵をぜひ!とお願いして、装画を決定しました。装幀案が決まった後は堀さんにさぁさぁとお酒を薦められ、あまり飲めないながらも僕とIさんでかなり飲んだのを覚えています。笑顔でお見送り頂き、大磯駅で倒れつつ、よろよろしながら帰宅しました……。

ちなみに僕は高校が大磯で、その高校は国道を挟んで海の真ん前にあり、東海道線を挟んだ山側の生い茂った木の合間にこのようなアトリエがあったことは当時はまったく知らず、十数年たってから気づいたのでした。クラスの卒業アルバムのクラスの集合写真の撮影場所は大磯駅前だったはず。まさか十数年たって駅前で酔い潰れることになるとは。