ホルトの木の下で 増補新版

ホルトの木の下で

増補新版

堀 文子

幻戯書房/2017年12月13日発行/A5判変形/上製本/カバー装/丸背

増補版刊行の際にカバーデザインを変更することになり、堀文子さんに自分の絵を自由にして新しいものをつくって!と言われ、全面に見えない木があると想定して、そこに切り抜いた鳥を配しました。カバーの紙にはチップがはいったOKカイゼルを用いて、見えない木の雰囲気を演出しています。

歌の子詩の子、折口信夫

歌の子詩の子、折口信夫

持田叙子

幻戯書房/2016年10月9日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーは特色二色のみのシンプルな造りですがとても気に入っている装幀です。モチーフは短めの羽根。決して大きくない体軀の鳥を想像させて、実体は見せずに存在を、空気感のみを漂わせる。飛び立って落ちた羽根なのか、それとも……。美しいままに抜け落ちた羽根の数々はどのように浮遊し、汚れを纏い、転げていくのか。

東京震災記

東京震災記

田山花袋

河出文庫/2011年8月20日発行/A6判/並製本/カバー装

『哀史 三陸大津波』に続いて震災関係の本の装幀を手がけました。装幀に使用している写真は手持ちの当時の生写真で、右奥に〈浅草十二階〉が崩れている様子が見えます。

哀史 三陸大津波

哀史 三陸大津波

歴史の教訓に学ぶ

山下文男

河出書房新社/2011年6月30日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーは2色で表面加工はニス。帯は2色。2011年の東日本大震災の後に刊行されました。11日の当日は事務所の前の明治通りを夜遅くまでずっと人が連なっていたのを覚えています。

劇画一代

激画一代

梶原一騎自伝

小学館クリエイティブ/2011年2月7日発行/四六判/並製本/カバー装

装幀、本文組版を担当。カバーは4色に表面加工がグロスニス。帯は1色。ちばてつや氏のインタビューを収録。

ホルトの木の下で

ホルトの木の下で

堀 文子

幻戯書房/2007年9月26日発行/A5判変形/上製本/カバー装/丸背

カバーは4色、タイトルと著者名をつや黒の箔捺し。帯は2色。

装幀案を考えるにあたって、担当編集者のIさんと堀文子さんの大磯のアトリエにお邪魔しました。アトリエはどこを見てもわくわくする、好奇心を大いにくすぐる空間で、壁に床に天井にどこを見ても、そして棚の上に置いてあるオブジェや何気なく置いてある木の板や棒、なんなのかよくわからないものやこれで描いているのかなと思わせる画材など、何を見てもおもしろく、こういった空間で堀さんの絵が紡ぎだされているのだと興奮が止まりませんでした。少し落ち着いてから、堀さんとお話ししながらアトリエにある絵を見させてもらい、最終的にこの絵をぜひ!とお願いして、装画を決定しました。装幀案が決まった後は堀さんにさぁさぁとお酒を薦められ、あまり飲めないながらも僕とIさんでかなり飲んだのを覚えています。笑顔でお見送り頂き、大磯駅で倒れつつ、よろよろしながら帰宅しました……。

ちなみに僕は高校が大磯で、その高校は国道を挟んで海の真ん前にあり、東海道線を挟んだ山側の生い茂った木の合間にこのようなアトリエがあったことは当時はまったく知らず、十数年たってから気づいたのでした。クラスの卒業アルバムのクラスの集合写真の撮影場所は大磯駅前だったはず。まさか十数年たって駅前で酔い潰れることになるとは。