そらみみ

そらみみ

宇田川寛之 歌集

いりの舎/2017年12月15日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

表と背のタイトルにはつや銀の箔押しまとわせています。この文字に表情を与える加工は以前から思いついていましたが、中々合う本がなく長く温めていた表現でした。この歌集でようやくお披露目することができました。「そらみみ」というタイトルやその内容に、少し距離を置きつつも正面から見据え、この時点での僕の持っているすべての美的な感覚で具現化することができた装幀だと思っています。

夜のボート

夜のボート

鶴田伊津 歌集

六花書林/2017年12月15日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

『百年の眠り』に続く第二歌集です。画像だとちょっと見えにくく、一面スミのベタに思えますが、よくよく見ると藍色の背景がうっすらと星空になっています。『百年の眠り』では淡い桃色、薄いピンクというよりはこういった表現をする方があう色の紙に意匠として蓄音機を配し金の箔押しでタイトルを捺しています。そこでは新らしい音楽(お子さん)の喜びを取り上げて表現しましたが、そういった意味合いでは本歌集では静けさ、家族として日々重ねていく時間を主体とした落ち着いた表現の装幀となっており、そこに10年の時の流れがあるのかもしれません。

八十の夏

八十の夏

奥村晃作 歌集

六花書林/2017年9月29日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバー装画はスミとグレーの特色2色、タイトルはつや銀の箔捺し。帯も2色。

ぶどうのことば

ぶどうのことば

大松達知 歌集

短歌研究社/2017年5月16日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

この歌集は大松氏に御指名いただき、第三歌集『アスタリスク』(六花書林、2009年)、第四歌集『ゆりかごのうた』(六花書林 、2014年)に続いて装幀を担当しました。新たな家族の誕生の喜びを歌った『ゆりかごのうた』に続く本歌集ではその家族としての成長を、仮想の果物のつたが五線譜(「家族」という容器でもあります)にからむ姿で表現しました。その実は時折の記憶であり、思い出でもあります。

ビビッと動く

ビビッと動く

奥村晃作 歌集

六花書林/2016年9月22日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーの地の色は紙色で、タイトルの一部「ビビッ」と波形を白の箔で捺しています。深みのある表情の紙なので、実際には箔一つに刷色のスミのみですが奥行きのある装幀に仕上げることができたのでは考えています。また、そのぶん帯は刷色を二色にしました。

六花書林十周年記念

六花書林十周年記念

六花書林/2015年11月27日発行/A5判/並製本

表紙デザイン及び本文組版を担当。タイトルの「六花書林」は小村雪岱独自の手描き文字〈雪岱文字〉を雪岱の装幀本から採集し使用しました。

近代短歌の範型

近代短歌の範型

大辻隆弘

六花書林/2015年11月13日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーはタイトルをつや銀で捺し、図版は二色で刷っています

カバーの図版はガラス板の断面をいくつも重ね合わせ、コラージュしたものです。重ね合わせたガラス板にそれぞれの歌人、歌を、そしてそれを重複させることにより、時間の経過のイメージを重ねています。このコラージュは本来は透明感のあるガラスですが、そのガラスの板を断面から見ることにより不透明化され、一言でスッと過ぎ去ってしまいかねない時間という言葉の重みやそれぞれの歌人たちの思考が凝縮された視覚化されたものとして作りあげました。

破垣

破垣

飯田章

幻戯書房/2015年6月10日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

カバーは2色で表面加工はニス。帯は1色。紙材はかなりざらりとした手ざわり感のある平和紙業のバフン紙(現在は新バフン紙N)で統一しています。

讒謗律

讒謗律

森本 平 歌集

角川学芸出版/2015年2月26日発行/四六判/上製本/カバー装/丸背

扉は前見返し裏にも印刷し、見開きを一体化させた扉にしています。