装幀の仕事 熊谷純歌集『真夏のシアン』短歌研究社

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装幀の仕事の紹介です。熊谷純さんの第一歌集『真夏のシアン』(短歌研究社)です。熊谷さんが短歌研究新人賞に応募された時に審査員をされていた米川千嘉子さんの繋がりで私にきたのかな? 米川さんの歌集『あやはべる』のような装幀という御希望でしたが、やはり何冊も出されている方の歌集と第一歌集だと(ちなみに熊谷さんが挙げてくださった『あやはべる』は私もとても好きな装幀の一冊です)、装幀の立ち位置も異なるのでゲラを読んでこちらで相応しいと思える装幀をお渡ししました。形にするのに少々手間取りましたが、個人的にも気に入った装幀に仕上げることができました。カバーのイラストレーションは線香花火のはじけているイメージを描きました。ゲラを読んでいると、そのイメージを具現化するデザインやイラストレーションがなんとなく浮かんで、実際にペンで描いたり、Photoshopで処理を加えたりするのですが、この『真夏のシアン』は最終的にはするするっと進みはしましたが、何度も異なるアプローチで描いたので中々苦労しました。

[四六判 上製 丸背]
カバー:村田金箔つや銀(タイトルと著者名のローマ字)+2C(特色+Bk)

『小村雪岱随筆集』の二刷が決まりました!

実は先月末に『小村雪岱随筆集』の二刷が決まりました。購入してくれた皆様、ありがとうございます。

幻戯書房で小村雪岱の随筆集を出してもらうことが決まったのが確か一昨年ぐらい。幻戯書房の事務所のお邪魔して装幀した本の見本を受け取っていた時に、他愛のない会話をしながら、雪岱の本出しません? 随筆集なんてどうですか? なんて言ったのが始まりだったような。すると数ヶ月後に編集者の田口さんから「企画、決まりましたよ!」と伺い、ええ?大丈夫ですか?と正直驚きました。去年の夏には形にしようと考えていたけれども、中々進まず、なんとか年内に!というのがずれこんでようやく今年の一月に刊行になったわけです。その制作過程で、まぁ、やはりそんなに売れないのでは?という不安もあったりで、印税もなしにして、定価も下げて(一般の書籍と比べると高いと思いますがこれでも下げてるのです)、幻戯書房に迷惑がかからないぐらいに売れてくれるといいなと考えていましたが……。色々切り詰めて、古書即売会に行って端から雑誌を読みあさり、国会図書館や近代文学館に行っても一頁一頁チェックして、雪岱の文章や雪岱に関する文章を見つけ出してきた甲斐がありました。本当にありがとうございます。現在、二刷印刷中です。八日には出来上がるようです。

装幀+編集の仕事 真田幸治編『小村雪岱随筆集』幻戯書房

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本日、装幀と編集を手がけた『小村雪岱随筆集』(真田幸治編、幻戯書房)の見本が出来上がりました。ライフワークである小村雪岱研究の新たな一歩として、幻戯書房の田口博さんに助けられながらようやくこの本を出すことができました。資料収集、編集、装幀、組版全てを手がけています。タイトルの文字は小村雪岱が春陽堂版「鏡花全集」の函など、装幀で使用した「雪岱文字」(※)を採集し使用しています。また、初出誌で文章に附随する挿絵についてもほぼ全て併せて収録しています。

『小村雪岱随筆集』は雪岱の歿後に刊行された『日本橋檜物町』(30篇収録)には新たに発掘した44篇を加えています。雪岱の新たな側面を見出してもらえれば嬉しいです。

[四六判 上製 角背 定価3,500円+税]
カバー:村田金箔つや消し黒箔(タイトル)+Bk

※「雪岱文字」については拙稿「「雪岱文字」の誕生──春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」(タイポグラフィ学会誌08、2015年)、「「資生堂書体」とその源流としての「雪岱文字」──小村雪岱と資生堂意匠部」(タイポグラフィ学会誌10、2017年)にて詳しく述べています。

遅ればせながら打ち上げ そして五反田古書展

朝一で五反田古書展に行くつもりが区切りがつかず事務所で仕事。結局そのままで午後半ばに神保町に打ち合わせへ。打ち合わせ後、ミロンガで一服。その後五反田へ。閉場間際の南部古書会館。五反田は朝一か、神保町での即売会をチェックした後のお昼ぐらいにはいつも行っているので、冬のこの暗がりの中を古書会館に向かうのはもしかしたら初めてのことかも。資料系の雑誌を四冊ほど購入。最後の客になってしまう。800円也。

『花森安治装釘集成』を購入して帰宅。11月に満を持して刊行。予告から購入するつもりではあったけれども仕事に追われていつのまにか一月も経っていた。

ちなみに同じタイミング(11月刊行)で『花森安治の従軍手帖』(幻戯書房)の装幀をしています。こちらは日を改めて紹介しようかなと。

ギュウギュウ詰めの山手線を新宿で降りて総武線で阿佐ヶ谷に。今晩は10月に刊行されて装幀と本文デザインを手がけた小山力也さんの『古本屋ツアー・イン・京阪神』の打ち上げ。18時55分待ち合わせ。けれども待ち合わせ場所には誰もおらず、ちょっと待っていると編集者の宮里君が登場。小山さんは急な仕事がはいったとのことで、二人で小山さんの制作日記でも書かれている居酒屋「駒忠」へ。とりあえずは二人で乾杯。少し遅れて小山さん、宴半ばに校正をしてくれた田中さんが到着。気づけば22時半。楽しい時間でした。帰りも山手線は満員で池袋まで我慢できず目白で下車。仕事の資料や即売会で購入した本を忘れないようにしながら千鳥足で帰宅。

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『タイポグラフィ学会誌08号・09号』論文発表会 2016年11月23日

既に2週間近くたってしまったが、11月23日(水・祝)にタイポグラフィ学会主催の『タイポグラフィ学会誌08号・09号』論文発表会(場所:東洋美術学校D棟学生ホール)にて論文の発表で講演をした。
昨年の学会誌『タイポグラフィ学会誌08』にて発表した論文「雪岱文字」の誕生──春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」を元にしたもの。
学会誌では取り上げるられなかった手持ちの資料を色々展示したので、多少は楽しんでもらえたかなと。
個人的には資生堂書体関係者の方にいらして頂き、お話しできたのは嬉しかった。

●要旨
装幀家、挿絵画家などとして再評価が著しい小村雪岱であるが、その評価は主に泉鏡花の著書、「鏡花本」の装幀によるところが大きい。その雪岱の装幀において、雪岱独自の文字「雪岱文字」が実は大きな役割を担っていたという事実は知られていない。
 また、「雪岱文字」は雪岱が大正期に在籍していた資生堂の和文ロゴタイプの成立にもは大きく寄与している。そして春陽堂版『鏡花全集』の函の装幀において主要な構成要素として採用され一つの完成を見ることになる。今まで論じられることの なかった「雪岱文字」が、どのように誕生し、展開されていったのかを考察する。

六花書林10.5周年対談イベント「六花書林の10年」

六花書林10.5周年イベント、「六花書林の10年」をテーマにした宇田川寛之氏(六花書林代表)と僕、真田幸治の公開対談が無事終了しました(昨日(3月19日)の土曜日)。対談をおこなった場所は友人二人が経営している神保町の古書店「古書いろどり」。始まる前はどのぐらい来てくれるか見当も付かなかったのだけれど、二時間前ぐらいからちらほらとイベント参加者が顔を出し始めてくれて、開始時間の18時半にはスペース一杯になり少し奥に詰めてもらうまでに。

遠方からいらしてくれた方もいて、六花書林の本作りに関心を抱いている人たちがこんなにいてくれたのだなーと感慨深かったです。俳人の宮崎斗士さん(六花書林から『翌朝回路』『そんな青』)や、歌人の本多稜さん(『游子』)、森本平さん(『町田コーリング』)、内山晶太さん(『窓、その他』)といった六花書林から本をだしている人たちが忙しい中、来てくれたのも嬉しかった。

対談では、宇田川さんが創業するまでの経緯や、また僕が六花書林の装幀を一手に引き受けることになった流れなども話し(ちなみに対談場所の店の主の一人、歌人の花笠海月さんは宇田川さんと僕を繋げてくれた人です)、そしてあらかじめ用意しておいた資料を元に、六花書林創業からの刊行本の中から選んだ10冊を刊行年順に挙げながら、制作している中でおこった出来事や感想、思い、色々と話しました。六花書林の装幀の流れの中ではちょっと違った、やわらかい装幀の『パン屋のパンセ』『食卓の音楽』といった杉崎恒夫さんの歌集二冊は僕にとっても色々と思い出深い本で、『パン屋のパンセ』はなんとただいま六刷です。普段歌にふれていない人たちにも読まれた結果だろうと思います。

60分という時間は本当にあっという間で、もっと宇田川さんから色々な話を引き出したかったなーというのもあったけれども、この10年かなり近くにいた僕でさえも知らないことが色々あって、対談者本人がおもしろく聞いていたというのもありました。イベント終了後は10人ほどで打ち上げ(なんと「酔の助」は満員で入れず)、二軒目にも。気付けば終電。帰宅後は仕事とこのイベントの準備で慌ただしかったのでよく眠れました。まだ原稿が残っているのですが。

夜の古本まつり

今年も古本まつりが終わってしまった。例年よりも一週間前倒しして始まった古本まつりは素晴らしいことに雨にほとんど降られることがなく、古本まつりも終わりの週末に行われたブックフェスティバルも両日とも行われたのはここ数年なかったのでは? 装幀をよくやらせてもらっている幻戯書房も出店していたが、イベント会場と近かったので少々大変だったろう。何冊か購入。国書刊行会の出店で、五十殿利治『「帝国」と美術 一九三〇年代日本の対外美術戦略』を購入できたのは嬉しかった。ジュンク堂で何回か手にとったが懐事情を考えると逡巡してしまい、いつも諦めていた一冊。靖国通りの露天で出店していた親しい古書店主と話していたところ、さすがに一日ぐらいは雨で休みたかったと(笑)確かに10日間連続で一人働き続けるのは疲れがでてしまうだろうな。最終日に話しかけたら本当にぐったりしていた。おつかれさまです。夜の照明をつけた露天が好きなので写真を何枚か撮ったのをアップする。

10月28日の靖国通りの露天の古書店。神保町交差点から駿河台下に向かって。1

10月28日の靖国通りの露天の古書店。神保町交差点から駿河台下に向かって。2

10月31日のすずらん通りのブックフェスティバル。

10月23日(金)特選古書即売展

今日の東京古書会館の即売会は特選古書即売展。年に一度の古本のお祭り「東京名物神田古本まつり」の口火を切る即売会でもある(ちなみに「東京名物神田古本まつり」は今年で56回目とのこと)。毎年、早めに入口の行列に列ぶも今年は少しゆったり八時半に家をでた。とはいえまだ行列は10人に満たなかったけれども。目録注文品の二冊のうちの泉鏡花『袖垣』は無事当選。函付はほとんど見ることの叶わない一冊。本冊はどうも開いたことのない雰囲気でピンピンの状態。もう一冊は残念ながらハズレ。昼過ぎに五反田の古書会館でおこなわれている「本の散歩展」へ移動。小村雪岱の挿絵の間接的資料となりそうなものを購入。

泉鏡花の大正期の単行本『袖垣』。大正3年に誠文堂から刊行。収録作品は「銀短冊」と「若杜」。装幀者は不明。

10月19日(月)トークショー

仕事に区切りをつけて神保町へ。岡崎武志さんと小山力也さんののトークショーが行われている東京堂へ。岡崎さんの『気まぐれ古本さんぽ』(工作舎)と小山さんの『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』(本の雑誌社)の発売を記念してのもの。小山さんの本の装幀と本文をやらせてもらったので今日は招待枠でお邪魔する。会場は6階。開始から20分ほど遅れて着席。会場はほぼ満席だ。しかし、まぁ、とにかく岡崎さんのトークが上手い。最近、自分が論文の発表で人前で喋る経験をしたせいか、そのすごさが以前よりもかなりわかるようになった。ちょっとした時に差し込んでくる本筋以外のネタも良い感じ。小山さんも自分では「全然ですよ〜」と言っていたけれども、とても自然なトーク。上手いものだなー。会場では見知った編集者さんが何人かいらして挨拶。打ち上げは近所の地下の中華へ。仕事のことを気にしつつだったので、ソフトドリンクをはさみながら三杯ほど頂いて帰宅。ちなみに小山さんは『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」の他に、原書房から『古本屋ツアー・イン・ジャパン それから』も刊行します。会場でも小山さんが言っていましたが「一月に古本本が三冊でる奇跡」よ。笑いの絶えないなごやかなトークショーでした。

画像はトークショー会場にて先行販売していた『気まぐれ古本さんぽ』に岡崎さんにサインを入れて頂いたところ、似顔絵を表紙に描いてくれた。嬉しいなぁ。岡崎さんのイラストは玄人はだしのレベルだと改めて思う。ちなみに装幀をした『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」は会場で販売しているにもかかわらず、まだ見本を手にとっていない不思議な状態。装幀家より読者が先に手にとってるよ、Mくん!おーい。待ってるよー。

装幀の仕事:米川千嘉子『歌集 あやはべる』

短歌研究社から米川千嘉子さんの『歌集 あやはべる』です。
かりんの結社誌の表紙をここ数年デザインしているのですが、そのご縁で装幀の依頼を頂きました。確か半年ぐらい前には依頼を頂いたので、ゲラを読み込んで時間をかけてじっくりと作成した記憶があります。時間をかけて良い本が出来上がることもあれば、短い時間でも良いものが出来上がることもあるのでなんとも言えないのですが個人的にはかなり満足のいく装幀の出来になりました。
米川さんはこの歌集で第47回迢空賞を受賞されています。

判型:四六版
製本:上製本 丸背
   特色2色+箔 マットニス 
装丁:真田幸治